固定費の見直しで電気とガスが後回しになりやすいのは、そもそも自分の家が乗り換えの対象なのかが分かりにくいからです。調べ始めても、比較サイトは「誰でも安くなります」と書いてあるのに、実際に申し込もうとすると断られる、ということが起きます。
先に結論を書きます。
- 電気 — 持ち家でも賃貸でも、契約者本人の判断で変えられます
- 都市ガス — 電気と同じく、契約者本人の判断で変えられます
- プロパンガス(LPガス) — 持ち家の戸建てなら変えられます。賃貸のアパート・マンションでは、入居者の判断では原則として変えられません
つまり、変えられない可能性があるのはプロパンガスだけです。ここを先に切り分けておくと、調べる時間がかなり減ります。
自宅がどれに当たるかは検針票で分かる
まず、自宅のガスが都市ガスかプロパンガスかを確認します。判断が早いのは次の3つです。
- 検針票の発行元 — 東京ガス・大阪ガスのような都市ガス会社か、聞いたことのない地域のガス会社か
- 家の外にボンベがあるか — 銀色のボンベが置いてあればプロパンガスです
- 使用量の単位 — 都市ガスもプロパンガスも立方メートル表示ですが、単価が段違いで、プロパンガスのほうが高く出ます
集合住宅で、建物の裏手にボンベがまとめて並んでいる場合もプロパンガスです。ボンベが見当たらず、検針票に大手ガス会社の名前があれば都市ガスと考えて構いません。
電気は全世帯が変えられる。ただし全世帯が安くなるわけではない
電気は2016年に小売が全面自由化されているので、賃貸でも持ち家でも、電気代を払っている本人が申し込めば変えられます。大家や管理会社の許可も要りませんし、工事も原則ありません。メーターの交換が必要な場合も、費用は電力会社側が負担するのが一般的です。
ただし、ここで注意が要ります。新電力に変えれば誰でも安くなる、というのは正しくありません。 料金の決まり方が会社によって違うからです。
見るべきなのは次の2点です。
基本料金0円のプランは、電気をあまり使わない世帯ほど有利になります。 一人暮らしや、日中ほとんど家にいない世帯が当てはまります。逆に使用量が多い世帯では、基本料金が無い分を従量単価で回収する設計になっていることが多く、思ったほど下がりません。
もう1つが市場連動型です。電力の取引市場の価格に合わせて単価が動く仕組みで、市場が落ち着いているときは安くなりますが、高騰した月はそのぶん請求も上がります。毎月の金額を一定に保ちたい人には向きません。申し込む前に、料金プランのページで「市場価格に連動」「電源調達」といった言葉があるかを確認してください。
リミックスでんきの料金プランを見る※基本料金0円で、電力量料金に市場価格の変動が反映される仕組みです。料金の内訳と適用条件は公式サイトでご確認ください。
スマホとまとめて選ぶという道もある
基本料金や単価そのもので選ぶ以外に、使っているスマホの回線に合わせるという選び方もあります。ドコモを使っているなら、ドコモでんきが候補になります。
ドコモでんきは市場連動型ではなく、料金の決まり方はいたって普通です。効くのはそこではなく、ドコモのスマホプランとのセット割と、支払いに使えるdポイントのほうです。対象プランとセットにすると、スマホ料金が毎月110円引かれ、電気の支払いでたまったdポイントは電気代の支払いにも充てられます。
つまり、ドコモ回線を使っていない人には旨味がほとんどありません。 選ぶかどうかは、単価の安さではなく「いまドコモを使っているか」で決まります。
ドコモでんきの料金プランを見る※ドコモの対象プランとのセットで割引が適用されます。割引額・dポイント還元率・申し込み条件は公式サイトでご確認ください。
なお、電気・ガス料金の国の補助金(激変緩和対策事業)は2026年3月使用分で終了しています。2026年4月検針分からは、どの電力会社でも補助金分の値引きがなくなる点は共通です。 どの会社を選んでも避けられない値上げなので、比較する金額はこの前提をそろえたうえで見てください。
都市ガスとプロパンガスは、料金の決まり方そのものが違う
同じ「ガス代」でも、この2つは別の商品だと思ったほうが正確です。
都市ガスは料金の届出制度があり、地域の大手ガス会社の単価がおおよその基準になります。同じ地域なら、どこと契約しても料金は極端には離れません。
一方でプロパンガスは完全な自由料金です。会社が自由に単価を決められるうえ、料金表を公開していない会社も珍しくありません。その結果、同じ地域・同じ使用量でも、契約している会社によって請求額が大きく違うという状態が起きます。
だから、見直しの効果が大きいのは圧倒的にプロパンガスのほうです。問題は、それを変えられる立場にいるかどうかです。
プロパンガスは持ち家なら変えられる。賃貸は大家の判断になる
ここが一番誤解されている点です。
賃貸のアパートやマンションでは、ガスの供給契約を結んでいるのは入居者ではなく大家(または管理会社)です。 建物一棟でまとめて契約しているため、入居者が自分の部屋だけ別の会社に切り替えることはできません。賃貸契約時の重要事項説明書に、ガス会社の変更ができない旨が書かれている場合もあります。
変えられるかどうかは、次のように分かれます。
持ち家の戸建てでも1つ注意があります。新築時にガス設備の費用をガス会社が負担している場合、10〜15年程度の契約期間が設定されていることがあり、途中で解約すると違約金が発生します。 給湯器やコンロを無償で貸与された記憶があるなら、契約書を先に確認してください。
賃貸の集合住宅にお住まいで料金が高いと感じる場合、できるのは大家や管理会社に相談することまでです。建物全体の話になるので、すぐには動かないと考えておくほうが現実的です。
変えられる立場にある場合は、複数社の見積もりを取って比べることになります。プロパンガスは料金表が公開されていないことが多いので、個別に問い合わせるより、一括で見積もりを取るほうが手間が少なくて済みます。
エネピでプロパンガスの見積もりを取る※対象は主にプロパンガスです。見積もり後に担当者から連絡が入る形になります。対応エリア・条件は公式サイトでご確認ください。
見積もりを依頼すると担当者から電話がきます。食材宅配のお試しセットは勧誘がある?にも書いたとおり、その場で意思をはっきり伝えれば話は終わります。連絡を受ける手間を許容できるかどうかが、実際の判断ポイントです。
セット割は「キャンペーンが終わった後の料金」で見る
電気とガスをまとめると割引になるプランは各社にありますが、割引額そのものは月に100〜300円程度のことが多く、これだけを目的に乗り換えても体感は変わりません。
見るべきなのは次の2つです。
- 一時的なキャンペーン割引と、恒常的なセット割引が混ざっていないか — 半年だけ大きく引かれて、その後は元に戻る形が多くあります
- 解約時の手数料 — 単独契約では手数料がかからない会社でも、セット契約にすると発生することがあります
つまり、比べるのは初月ではなく、キャンペーンが終わった13ヶ月目の金額です。ここが今の料金より下がっていなければ、乗り換える意味は薄くなります。
手をつける順番
まとめると、こうなります。
- 電気を確認する — 全世帯が対象。使用量が少ないなら基本料金0円型が効く
- ガスの種類を確認する — 検針票とボンベの有無で分かる
- プロパンガスかつ持ち家なら見積もりを取る — ここが一番下げ幅が大きい
- 賃貸の集合住宅なら、ガスは一旦保留 — 変えられないので、時間を電気と通信費に回す
固定費の見直しは、順番を決めておくと途中でやめずに済みます。全体の順番は固定費の見直しは何から始める?に、下げ幅が一番大きい通信費についてはスマホの通信費を見直す5つの確認点にまとめています。
なお、この記事の内容は2026年8月時点のものです。料金プランと適用条件は改定されるので、家電・サービス比較記事の正しい読み方にも書いたとおり、申し込む前には必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。